驚きました!
1本22万円の日本酒です。SAKE HUNDRED という日本酒ブランドの銘柄の1つ「現外」(1本500ml)です。27年熟成させました。作り始めたのは1995年です。
SAKE HUNDREDのホームページによると、今年分は2022年11月30日に販売終了となったそうです。つまり売り切れでしょうね。
味は、残念ながら分かりません。
しかしコンセプトによると、時が刻まれた、運命の熟成酒だそうです。
…甘味、酸味、苦味、旨味が複雑に絡み合いながら高い次元で調和。
人智を超えてもたらされた味わいは、円熟味を帯びた優雅さを感じさせます…
(飲んでないので、コンセプトをそのまま書きました)
そして、順調に熟成が進んだ場合、2023年には28年熟成日本酒として発売予定だそうです。いったい、お値段はいくらになるのでしょうか?
驚愕の日本酒ブランド
SAKE HUNDRED
SAKE HUNDRED は、東京のクリアという日本酒企画・販売会社が出しています。
「現外」は醸造パートナーとして、沢の鶴という老舗の蔵元が作っているそうです。
阪神淡路大震災で倒壊した酒蔵で奇跡的に残ったタンクの酒母(醸造の途中段階の液体)はこうして蘇ったわけです。
それほどの日本酒、にゃー太郎もなめてみたいです。
そしてSAKE HUNDRED は代表銘柄「百光」(1本720ml、3万8500円)をはじめ、7銘柄を販売しています。そして、クリアの日本酒の平均購入単価は2022年10月に3万7348円と2020年10月と比べ27%も上昇しています。(注1)
デフレ時代の中でもうまくビジネスを展開しているようです。
同じく高級日本酒の企画・運営会社のForbul(東京)も、「TAKANOME」(1本720ml、1万5400円)も、毎週水曜日の発売日に5分で完売する好調ぶりです。すごい。(注1)
日本酒は今、売れていません。清酒の出荷量はピーク時の1973年度の177万klから2020年度には41万klと、3割以下に減ってしまっています。(注2)
人口の減少や日本人の飲む酒の多様化、そして従来の日本酒のイメージが特に若者にアピールしないことがその要因でしょう。日本酒メーカーも様々な営業努力をしているのですが…
しかし、新ジャンルの超高級日本酒の場合、デフレだろうが、不況だろうが、売れる。インフレになれば価格を上げることができる。それはなぜでしょうか?マーケティング理論の出番です。
「売れる」を創るマーケティング
「モノ、サービスをいかに付加価値を高めて(≒利益を上げて)、多く売るのか?」
マーケティングの実質はこんなことだろうと思います。マーケティングの総本山、アメリカのAMA(アメリカマーケティング協会)の最新の定義(2007年発表)は、「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである」です。難しいですね。
つまり、モノ、サービスを売るだけではだめだ、人間と人間、人間と社会とのかかわり方がとても大事で、誠実に対応しなければならない。単にステークホルダー(利害関係者)だけでなく、社会全体に責任を持たなければならないということだと、理解しています。近江商人の活動理念の「三方よし」、つまり売り手にも買い手にも世間にもいい、でしょうか。これ以上は、難しくて猫には理解できません。
マーケティング理論では、超高級日本酒の開拓は、①今までなかったビジネスの領域を見つけ、競争を回避し(これはブルーオーシャン戦略といいます)、②細分化したマーケットにターゲットを絞り(これはニッチ戦略といいます)、③高い価格をつけることで「美味しいだろう」とアピールする(これはプレステージ価格戦略といいます)、というやり方です。味もたぶん、今までの日本酒よりも、ワインやシャンパン、あるいはコニャックにも似たものだろうと、想像します。(すみません、飲んでいません)
こんな特徴を生かして、次の一手は、海外本格販売かもしれません。「モノ、サービスをいかに付加価値をつけて売るのか」。低迷する日本企業の間で、マーケティング戦略の重要性はさらに高まっています。
にゃー太郎も、お腹がすいたのでご飯にします。高級路線で「国産最高級品質合鴨ミンチ」(500gで何と2780円+送料)が食べたいのだが……
(注1)日本経済新聞2022年12月8日朝刊
(注2)国税庁 酒レポート 令和4年3月 正確な単位は清酒の課税移出数量
経済系の新聞記者、マーケット・経済専門のCS放送局出演等を経て、現在は経営コンサルタント(中小企業診断士)。ウェブ解析士。無類の猫好き。犬より猫。日本経済の再興を願っています。
ブログは原則週1回のペースで更新いたします(猫は怠け者ですのでたまには…)。 猫故、稚拙な表現やや行き過ぎた個人的意見が入ることもありますが、猫故、お許しください。