日本は終わった?

猫西にゃー太郎です。皆さん、今、暮らしはいかがですか?これからますます値上げラッシュですね。大変です。にゃー太郎は今晩のエサを心配しています。でも猫ですから、先のことはあまり考えられません。
明日も優しい人がご飯をくれるかな、できれば食後にアルミ包装に入ったゼリー(チュ〇ル)も食べたいな、くらいです。

先日、テレビのニュース(注1)を窓の外からのぞき見していたら、中国の歯ブラシメーカーが日本に工場進出している話を放送していました。そのメーカーの中国人社長は「日本の従業員は真面目で丁寧です。不良品率がやっぱり低い」と、日本人従業員の技能の高さを持ち上げ、そして「中国の人件費コストは毎年1割ぐらい上がっています」と語りました。本音は「日本の安くて優秀な労働力はお買い得だ」でしょうね?

別の企業も、昨年から中国資本を導入(中国企業に買われたのかどうかは分かりません)、日本でマスクを生産して、メイド・イン・ジャパンとして販売しています。「日本と中国の人件費は変わりないですよ」とメーカーの方が語っています

あれあれ。20年ぐらい前までは日本企業が海外に工場進出して、海外の安い人件費を生かしてモノやサービスを生産するのが、企業の海外戦略のパターンでしたよね。20年たって真逆になってしまったのでしょうか?「付加価値≒利益の高いものを輸出して、付加価値の低いものは輸入する」はずだったのが、逆転していますね。これで日本は豊かになれるのでしょうか?

日本人の賃金と資産の実態

日本の人件費を、アベノミクス+クロダノミクスが本格的に始まった、つまり日本銀行が金利をゼロにしておカネを借りやすくする異次元の金融緩和を始めた2012年度と直近の2021年度の実質賃金指数を比べます(注2)
なんと、2012年度の105.9から2022年度には100.6に下がっています。毎年105万9000円もらっていた人が、9年後には100万6000円しかもらえなくなっています。日本人はやっぱりビンボーになっているのですね。中国では期間は違いますが、2008年から2019年の間に実質賃金は2.2倍伸びています(注3)。歯ブラシメーカーの社長さんの「日本の労働力はお買い得」は、優れた着眼点なのか。

クロダノミクスで得している人もいます。資産の状況を見ましょう。内閣府のレポートでは、総資産残高で家計(=家庭)の数を10段階に分けたところ、最も残高が多い層の平均資産は、2019年に1億3511万円で、2014年から1030万円増えています。(注4)

一方、最も資産が少ない層の家計は資産ではなく「負債」が215万円増えています。資産が多い層は有価証券の保有割合が大きく収益率が高水準だったためと、猫から見れば他人事のように内閣府は分析しています。日経平均株価は2013年3月末の1万2397円から2022年11月末には2万7968円に上がっています(注2)。株買えば儲かりました。でも資産のない人はどうすりゃよかったんだ?にゃー太郎の資産は毛皮?しかありません。しかし毛がないと寒くて死んでしまいます。

日銀の政策はどこに向かうのか

大規模な金融緩和で金利上昇を抑えるために日銀は国債を買いまくり、国債保有残高は2013年3月の125兆円から2022年10月には556兆円に増えています(注2)。国債とは国の借金と、にゃー太郎は理解しているので、国はこれだけのおカネをどうやって返すのでしょうか。「借りたカネは返さなくてはいけない」と、にゃー太郎の祖母はいつもいっていました。「国は必ずしも国債など返さなくてもいい」というMMF(モダン・マネタリー・セオリー)など、猫は本能的に信用しません。

安い労働力を求めて海外企業が相次ぎ日本に工場進出し、日本が一握りのお金持ちを除き全員ビンボーになり、国に巨額の借金が溜まってしまったら、日本は終わった?といってもいいのではりませんか。

2023年4月8日に黒田東彦日銀総裁の任期が終わります。しかし次の任期も日銀総裁をお続けになり(ひろゆきさんも言われていましたよね)、マイナス金利政策(金融緩和策は途中でゼロ金利からマイナス金利まで強化されました)の成果と、日銀がお引き受けになった巨額の国債をどうするかをぜひお示しになって、クロダノミクスを全うしていただきたい。

それまで、にゃー太郎は立派なお家や超高級車をお持ちの方のまわりを集中的に巡回し、ご飯を頂くようにしたいと思います。あとマイナス金利でおカネを借りたいですね。

(注1)1カ月くらい前の日本テレビのニュースです。YouTube「日テレNEWS」に載っています。
(注2)朝日新聞2022年12月4日付の朝刊から
(注3)内閣府の「世界経済の潮流 2021年Ⅱ」より
(注4)朝日新聞2022年12月6日付の朝刊から

猫西にゃー太郎
(本名:西川靖志)

経済系の新聞記者、マーケット・経済専門のCS放送局出演等を経て、現在は経営コンサルタント(中小企業診断士)。ウェブ解析士。無類の猫好き。犬より猫。日本経済の再興を願っています。

ブログは原則週1回のペースで更新いたします(猫は怠け者ですのでたまには…)。 猫故、稚拙な表現やや行き過ぎた個人的意見が入ることもありますが、猫故、お許しください。
タイトルとURLをコピーしました