究極の選択です

マタタビか?チュールか?
猫を愛する優しい方からどちらかを選んで、といわれれば、にゃー太郎は大変困ります。
悩みます。マタタビの快楽、チュールの豊潤な味わい。
どっちもください!といいたくなります。
でもこれは嬉しい選択。日本国民の皆様は今、厳しい選択を迫られているのです。

① 日本は原子力発電を続けるのか
② それともやめるのか、です。

あれから12年近く経ちました。2011年3月11日午後2時46分の衝撃から。
国内で最大規模の地震となった東日本大震災が発生、死者・行方不明者は約2万5千人。(注1) 尊い人命が多数失われました。
そして震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故、いや危機。
電源喪失で冷却できない原子炉の上を、自衛隊の大型ヘリコプターが水の入った大きなバケツを吊り下げて飛び、その水を原子炉にかける、という映像は衝撃的でした。
それしか手段がないのか?それで原子炉は冷えるのか?
猫でも「これはまずいのではないか!」と思いました。その後、関係者の懸命な努力で何とか現状まで持ってきている状況です。

原子力発電をやめたいが…

廃炉処理は大幅に遅れています
東電は2019年2月28日、事故後初めて、福島原発2号機のデブリ(核燃料と構造物が混じり合った堆積物)にロボットで直接触れて、1時間当たり6.4~7.9シーベルトの極めて強い放射線が計測されたと発表しました。(注2)
どれくらい強いかというと、人が1時間ほどとどまると、死んでしまう… まして猫は…
原子炉を支える土台の周りでは、1時間当たり推定で43シーベルト
想像を絶する放射線量です。
こんな危険なデブリ取り出しの作業プロセスは、当初の計画より大幅に遅れ、現在は中長期(~2033年末)ということになっていますが(注3)、さらに遅れるのは確かです。だって8年経ってやっと「ヤバいもの」に触れたのでは…

それなら原子力発電をやめればいい。
でも地球温暖化という大変な問題を解決することは日本、そして世界の緊急課題です。
原子力発電は温暖化の主因である二酸化炭素(CO2)を出しません。
原子力発電を、LNG(液化天然ガス)、石油等の化石燃料発電で代替すると、その分、日本のCO2排出量が増えるのです。
日本政府は2030年度に、CO2など温室効果ガスを46%(2013年比)の削減をめざす、さらに50%に向けて挑戦することを、世界に表明しています。(注4) 
今更「できません」と、いうのは世界に通じません

再生エネルギーで課題解決!?

ではCO2排出ゼロの再生エネルギーに一本化しよう。
これなら課題はすべて解決!ですが、現状では特にコスト面で難しいようです。
いろいろな電力発電のコスト試算があって、どれが正しいのか見極めにくいのですが、再生エネルギーは原子力、火力に比べて現時点ではコストは高いようです。(注5)
太陽光発電は天候に左右され、夜は発電できない。風力発電も日本では適地が限られ、発電量は風任せ。何より困るのは再生エネルギーを蓄える効率の良い大容量電池の技術がないことです。住宅一戸、ビル、マンション一戸ごとに太陽光発電を義務付け、電気自動車用のバッテリーを組み合わせた畜電池に貯めて、夜はそこから使うという方法も考えられます。しかし一体、いくらかかるのか、誰が払うのか、何年で普及させるのか、難題だらけです。設備含めたトータルの電気代は現時点では、今より相当高くなる見込みです。

日本政府は昨年末、「将来にわたって持続的に原子力を活用する」方針に大転換しました(注6)。LNG価格上昇による電気料金の急騰を背景に拙速に決めていいのか。高くても再生エネルギー中心でという人も声を上げて欲しい。再生エネルギーの将来的なコストも政府は示し、もっと議論を尽くべきと思います。

何か、重い話になりました。太陽光発電で寝る猫の写真で少し癒されてください。

(注1)内閣府HP 防災情報のページ
(注2)NHKのHP「政治マガジン」より
(注3)東京電力ホールディングスのHP 廃炉中長期実行プラン2022
(注4)地球温暖化対策計画、令和3年10月22日閣議決定
(注5)いろいろな試算があるので、根拠は現在の電気料金に占める再生エネルギー補助金=賦課金にしました。資源エネルギー庁は2022年3月、賦課金を今後1年間は3.45円/kWhと0.09円引き上げることを発表しました。賦課金は毎年上昇傾向にあります。補助金を多く出さないと普及が進まない=採算が取れないということです
(注6)原発政策大転換 NHKのHP 2022年12月22日

猫西にゃー太郎
(本名:西川靖志)

経済系の新聞記者、マーケット・経済専門のCS放送局出演等を経て、現在は経営コンサルタント(中小企業診断士)。ウェブ解析士。無類の猫好き。犬より猫。日本経済の再興を願っています。

ブログは原則週1回のペースで更新いたします(猫は怠け者ですのでたまには…)。 猫故、稚拙な表現やや行き過ぎた個人的意見が入ることもありますが、猫故、お許しください。
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