配置転換(職種・勤務地の異動)は拒否できるか?

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うぇ~ん…やだよ~…行きたくないよ~…
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あ…やだ…もしかして今の聞いてました?…もぅ~盗み聞きはやめてくださいよ~…え?どこに行きたくないのかって?…それは、あの…実はですね、上司から「来月から営業部に異動してもらうかもしれないからそのつもりで…」って配置転換の打診を受けてたんですけどね…
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…でも私、今いる商品開発部の仕事にやりがい感じてるから、正直言って営業部には移動したくないなって思ってたんですよ…で、去年同じように営業部に異動した『まにゃったん』先輩にそのことを相談してみたら「労働トラブルで悩んだときはトルティーヤっていう猿に相談すればいろいろタダで教えてくれるよ」って言われて…
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…でね、今日はトルティーヤってゆーお猿さんのおうちに「配置転換の命令は拒否できないのか」っていうことを教えてもらおうと思って、こうしてお土産のポトポトポットスを抱えて駅から歩いてきたんです…え?「ポトポトポットス」知らない?…ポテトチップスのことですよ…私の住んでる地域ではポテチのことを「ポトポトポットス」ってゆーんです…まぁ、そんなことどうーでもいいんですけど…あれ~『まにゃったん』先輩の書いてくれた地図だと確かこの辺りなんだけど…トルティーヤってゆーお猿さんのおうちどこにあるんだろー…?
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【転勤や部署移動などの配転命令を拒否することはできるか?】
正社員に限らず、アルバイトや契約社員などの非正規労働者であっても、会社から勤務する部署が変えられる「配置転換(配転)」や勤務する場所が変更される「転勤(※広義では配転)」が命じられることがあります。
しかし、労働者としては現在の職場や勤務地で引き続き働きたいと思う場合も少なくありませんから、配転(配置転換)や転勤に応じたくないと希望するケースも多いのではないかと思われます。
では、このように会社から転勤や部署移動などの配置転換の命令(配転命令)を受けた場合、その配転命令を拒否することはできるのでしょうか?

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プロローグ

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あ~…なんだよさっきの炊き込みご飯よ~…俺前から言ってたじゃねぇかよ「キノコは絶対NG」って…ったく、なんで炊き込みご飯にキノコ入れんだよ~…まったくよ~…
あの~…つかぬことをお伺いしますがこの辺りにトルティーヤっていうお猿さん…
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え?…トルティーヤ?…トルティーヤなら俺だけど…ただ猿じゃなくてチンパンジーね…で、なに?なんか用…?
あ、どうも失礼いたしました…あの、私『にゃんぜ』っていう猫なんですけど、同じ会社の『まにゃったん』先輩からトルティーヤ先生のお噂をお聞きしてまして…それで今日はちょっと労働トラブルの件でご相談に乗っていただけないかと思ってお尋ねしたんですが…
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え?『まにゃったん』?…あ~あのしょっちゅう労働トラブルに巻き込まれて相談に来る猫のことね…で、なに?相談?…別にいいけど…あんまり複雑な内容は遠慮してくれるかな…俺今日ちょっと用事あるからさ…
あ…ありがとうございますっ…あの、実はですね、わたし今、会社の商品開発部っていう部署で働いているんですけど、上司から営業部への配置転換を打診されていて、どうも来月か再来月あたりから営業部に異動させられるみたいなんですね…でも私、今の商品開発部の仕事にやりがいを感じてて営業の方には正直言って行きたくないって思ってるんです…だから、何か配転命令を拒否できるような方法はないかなって思って…
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なるほど、会社の上司から配置転換の辞令を受けるかもしれないっていう状況に置かれてるってことね…で、その配置転換が開発部から営業部への異動で「職種」が変更されることを含むものだから自分の希望としては配置転換を拒否したいと…
そうなんです…トルティーヤ先生、私この配転命令を拒否することはできないんでしょうか?…
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「就業規則」や「個別の労働契約」に配転命令の根拠が規定されていれば労働者は配転命令を拒否できないのが原則

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う~ん…配転命令を拒否できるかっていう点を判断するためにはいくつか確認しなきゃいけないことがあるんだけど…『にゃんぜ』ちゃんが働いている会社の「就業規則」とか入社するときに会社との間で取り交わした労働契約書(雇用契約書)では配転に関する規定はどうなってるの…?
就業規則とか労働契約書(雇用契約書)…?
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うん、就業規則とか労働契約書(雇用契約書)。会社が労働者に対して部署の異動を命じたりする人事異動のことは「配置転換(配転)」って呼ばれていて、その配置転換も『にゃんぜ』ちゃんのように実際に勤務する「職種」が変更されるものと、勤務する「場所(勤務地)」が変更されるものの2種類に分類されるんだけどね…(ちなみに、勤務する「場所(勤務地)」が変更される配置転換は「転勤」って呼ばれることの方が多いよね)
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…「職種」に変更のある配置転換も「勤務地」に変更のある配置転換も、いずれの配置転換であっても会社が労働者に対して配置転換(配転)を命じる場合には、「就業規則」か「労働契約(雇用契約)」にその配置転換を命じることができるような根拠となる規定が定められていて、会社が労働者に配置転換を命じることができる「配転命令権」が労働契約の内容となっていることが必要になる、っていうのが基本的な法律上の考え方になってるんだ…
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…だから「配転命令を拒否できるか」っていう問題を考える場合は、まずその会社の「就業規則」か入社するときに取り交わした「労働契約書(雇用契約書)」なんかに「配置転換を命じる根拠」となるような規定が定められているか、っていう点を確認する必要があるんだよ。
う~ん…なんか難しいけど、とにかく会社が配転命令を出すときは「就業規則」か「労働契約書(雇用契約書)」にその根拠となる規定があらかじめ定められていなきゃいけないってことですね…う~んと…でもどうなんだろ…私、会社の「就業規則」とか「労働契約書(雇用契約書)」なんて見たことないからな~…正直に言うと会社の就業規則とか労働契約書(雇用契約書)にそういった規定があるかどうかなんてわからないです…てへ♥…
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あ、そう……でもまぁ、ほとんどの会社では「就業規則」に「会社は、業務の都合上必要がある場合には、出張、配置転換、転勤を命ずることができる」っていうような規定が定められてるのが普通だから、たぶん『にゃんぜ』ちゃんの会社でもそういった規定があるんじゃないかと思うよ。だから、仮に入社するときに会社との間で取り交わした労働契約書(雇用契約書)に配転に関する規定がなかったとしても会社には『にゃんぜ』ちゃんに対する配転命令権があるって考えておいたほうがいいんじゃないかな…
え~?…じゃぁ、上司からの配転命令を拒否できないってことですか?…そんなの嫌ですよっ…だって今の製品開発の仕事好きだし、営業なんて性格的に向いてないのわかってるもん…え~ん、やだよ~…
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ただし、個別の労働契約(雇用契約)で「職種」や「勤務地」が限定されている場合は配転命令を拒否できる

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いや…「就業規則」とか「労働契約書(雇用契約書)」に配転命令の根拠となる規定があるからと言って無条件に会社の配転命令が認められるってわけじゃないから、そんなに悲観する必要はないかもしれないよ。
え?…どーゆーことですか?…だって会社の「就業規則」とか入社するときに会社との間で取り交わした「労働契約書(雇用契約書)」に「配置転換を命じることができる」っていう規定が定められてたら従業員の方は会社からの配転命令を拒否できないんでしょ…?
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うん…まあ、原則的にはそうなんだけど、ただこれには例外があって、個別の労働契約(雇用契約)で「職種」とか「勤務地」が特定のものや場所に限定されているような場合は、その限定された「職種」や「勤務地」の範囲内での配置転換しか会社は命令することができないんだ。…だから『にゃんぜ』ちゃんの場合も、もし入社するときに会社との間で取り交わした労働契約(雇用契約)で「職種」とかが限定されているようだったら会社からの配転命令を拒否できるって考えられるんだよ。
え~っ?…そーなんですか?…でも、就業規則に「会社は配転命令を出すことができる」って書かれてあるのに、個別の雇用契約で「職種」とか「勤務地」が限定されてれば配転命令を拒否できるっておかしくないですか?…だって、就業規則はすべての従業員が守らなきゃならないんでしょ?…だったら個別の従業員との契約で「職種」とか「勤務地」が限定されてたとしても、就業規則の規定の方が優先されるんじゃないですか?
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いや、それは法律的に考えて正しくないよ。だって、労働者と使用者(会社)の間で結ばれる労働契約(雇用契約)は、その当事者となる労働者と使用者(会社)の間で個別に合意した内容と、会社が労働者に対して周知させている就業規則の内容の両方が労働者と使用者(会社)を拘束することになるわけだけど(労働契約法7条前段)、就業規則の内容と異なる労働条件で個別の労働契約(雇用契約)が結ばれた場合は、その個別の労働契約(雇用契約)で合意された労働条件が労働契約(雇用契約)の内容になるのが基本的な法律上の考え方となるからね(労働契約法7条但書)。
【労働契約法7条】
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
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もちろん、個別の労働契約(雇用契約)で合意された労働契約(雇用契約)の内容が就業規則の内容に足らない場合…つまり就業規則で周知されている労働条件より悪い労働条件で個別の労働契約(雇用契約)が結ばれた場合は労働者を保護する必要性からその就業規則に満たない労働条件は無効になって就業規則の労働条件が優先されるけど(労働契約法12条)、「職種」とか「勤務地」が限定されているっていうのは労働者に有利な労働条件になるから、たとえ就業規則に「会社は配転を命じることができる」って規定があったとしても個別の労働契約(雇用契約)で「職種」とか「勤務地」が限定されている場合はその労働者においてはその「会社は配転を命じることができる」っていう就業規則の規定自体が無効と判断されて、会社はその労働者に対して「職種」の変更や「勤務地」の異動が含まれる配置転換を命じることができなくなるんだよね。
【労働契約法12条】
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
え~…どーゆーこと?…難しすぎてわかんないですよ…
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え?…難しい…ごめんごめん…まあ簡単に言うと、とにかく就業規則に「会社は配転を命じることができる」って規定があったとしても、その会社に入社するときに会社との間で取り交わした契約書に「職種」とか「勤務地」が限定されている場合には、その限定された「職種」とか「勤務地」に含まれる範囲内でしか会社は配置転換を命じることができない…つまりその限定された「職種」とか「勤務地」以外の「職種」や「勤務地」への異動を会社から命じられたとしてもそれを拒否することができるっていうことになるんだよ。
なるほど~…じゃ、例えば入社するときに「職種」が「開発」ってことで会社との間の労働契約書(雇用契約書)で合意してたら仮に会社の就業規則に「会社は配転を命じることができる」って規定があったとしても、「営業」への配転命令を受けた場合は拒否することができるっていうことですね?
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そうだね。
…んで、入社するときに「勤務地」が「東京」ってことで合意して労働契約書(雇用契約書)にサインしてたとしたら、就業規則に「会社は配転を命じることができる」って規定があったとしても、「東京以外」への配転命令は拒否できるってことになる…こういうことですよね…?
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そうなるね。理解できてるじゃん。……で、『にゃんぜ』ちゃんが入社したときの契約では「職種」とか「勤務地」はどういう風に合意していたの?
…う~ん…どうなんだろ…入社するときに会社からもらった労働契約書(雇用契約書)ってすぐに砂場の砂の下に埋めて隠しちゃったから詳しく読んでないんですよね…ん?…あっ、そうだ…入社するときになんかあったときのためにってスマホで契約書を撮影しておいたはずなんですよね…もしかしたらその時の画像が残ってるかも…
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…ちょっと待ってくださいよ…ぴこぴこぴっ…なになに?…ふむふむ?…にゃにゃっ…!?
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…ってそれ肉球じゃねーかよっ!!
え?…猫界隈では肉球がスマホ代わりになってるんですよ、トルティーヤ先生って猿のくせに何も知らないんですね…
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…そんなのありえねーだろ…まあどーでもいいけど…で、どう書いてあるの?
…う~ん…契約書には職種が「商品開発」って書いてあるみたいですね…ってことは、会社から「営業職」への配置転換を命じられたとしてもその配転命令は拒否できるってことになりますよね…?
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そうなるね。そういうことなら会社側は『にゃんぜ』ちゃんに対して「商品開発」の仕事の範囲内でのみ配置転換を命じることができるにすぎないから、仮に会社が『にゃんぜ』ちゃんに対して「商品開発」以外の職種に配置転換を命じたとしても『にゃんぜ』ちゃんは拒否することができるってことになるね。
な~んだ…心配して損しちゃった…だったら安心だ。
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【ワンポイントアドバイス】
配転命令の効力が争われるケースでは、上記で説明したようにまず会社の就業規則や個別の労働契約で会社の配転命令権が明示されているかという点を確認するのが通常で、その配転命令権の明示がある場合には、個別の労働契約で職種や勤務地の限定がなされているかいないか、という点を確認するのが配転命令の有効性を判断する手順となります。
この場合、仮に就業規則や個別の労働契約で配転命令権が明示されていて、かつ個別の労働契約で職種や勤務地の限定がなされていなかった場合には、原則として会社の配転命令を拒否することができないものと考えられますが、そのような場合であっても会社の配転命令が権利の濫用と判断される場合にはその配転命令は無効と判断されることになります(労働契約法3条5項)。
どのような配転命令が権利の濫用と判断されるかはケースバイケースで考えるしかありませんが、たとえば会社の違法行為を内部告発した報復に配置転換を命じられたり、上司によるいじめの手段として配転が命じられたような場合には、たとえその配転命令が労働契約上正当なものであったとしても権利の濫用として無効になるものと考えられます。
ですから、仮に個別の労働契約で職種や勤務地が限定されていないケースであっても全てのケースで会社の配転命令が有効になるわけではなく、権利の濫用にあたる場合は配転命令を拒否できる場合もありますので誤解のないようにしてください。
(※権利の濫用についてはこちら→嫌がらせ・報復目的の人事異動を命じられた場合の対処法

会社が配置転換を強制する場合の対処法

あの~…配転命令についての法律的な考え方はわかったんですけど、もしも会社がそういう法律的な考え方を無視して配転を強要してきたときはどうしたらいいんですか?…だって、私が「入社するときの労働契約で職種が限定されてるんだから就業規則に配転の規定があったとしても会社は営業職への配転を命じることはできないはずだ!」っていくら言ったとしても会社がそれで納得しない場合もありますよね…?
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…たとえば会社の上司から「配置転換に応じないならクビにするぞ!」とか「営業への異動に従わないなら給料を引き下げるぞ!」とか言われたら、それを拒否することなんて実際問題としてできないじゃないですか?…そういう場合はどうしたらいいんですか?
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(1)労働局に紛争解決援助の申し立てを行う

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う~ん…そういう場合は労働局に紛争解決援助の申し立てをするとかいうのも考えてみるしかないんじゃないかな?
労働局?…労働基準監督署じゃなくて…?
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そう、労働基準監督署じゃなくて労働局の紛争解決援助の申立て。各都道府県にはそれぞれ労働局っていう厚生労働省の出先機関が設置されていて、その労働局では「労働者(従業員)」と「事業主(会社)」の間で何らかの”紛争”が発生した場合にその”紛争”を解決するための手続きが設けられているんだけど、その手続きが「紛争解決援助の申立」って呼ばれてるんだ。
へ~…そういう手続きがあるだ…で、その紛争解決…なんちゃらを申し立てたらどうなるんですか?
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