会社都合じゃない休業でも休業手当を支払ってもらえる?

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嫌なヤツ!嫌なヤツ!嫌なヤツ!……嫌なヤツ!嫌なヤツ!嫌なヤツ!……「働きもせずにお金を貰おうなんて考えるのは止めた方がいいぜ」……ニャによっ!!
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え?…なにをそんなに怒ってるのかって?…う~ん…実はね、こないだいた一緒に…こないだいた一緒にいた…こないだ一緒にいた?
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いや…あのですね、こないだ一緒に居残って残業してた上司がですね、「まだ正式には決まってないから他言無用なんだけど、来月から1か月間臨時休業になる予定なんだぜ」っていきなり言い出したんですよ…で、詳しく聞いてみたら、この夏の天候不順でうちの会社で作ってる製品の原材料になるマタタビが極端に不足してるみたいで、来月から1か月間生産ラインを全面的にストップさせるみたいなんです…それで会社が1か月間休業になるみたいで…
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…で、1か月間もお休みになるって聞いてびっくりしたもんだから、わたし聞いてみたんですよ「その休業期間のお給料はちゃんともらえるんですよね?」って……そしたらね、その上司なんて言ったと思います?…「お前バカか?会社が休業になったら仕事しなくていいわけだから給料なんて出るわけないだろ!」って怒鳴りだしたんですよ!?
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でも、そんなの困るじゃないですか?だって、1か月間まるまる給料が出ないってなったら生活費どうするのって話になるでしょ?…だから聞いてみたんです「休業手当は出るんですよね?」って…そしたらね、その上司が…あ、その上司って「古川さん」って言うんですけどね……その古川さんが「お前ホントばかだな、会社が休業するのは原材料の不足が原因で会社に責任があるわけじゃないんだから休業手当なんて出るわけないだろ!」「そもそも仕事が休みになるのに手当を払えとはなんて傲慢な猫なんだ!恥を知れ!」ってまた怒り出しちゃって…
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そりゃあね、会社の言うとおり「原材料の不足」が原因でやむを得ず会社が休業するっていうんだったら会社に休業の責任はないと思いますよ…でもね、1か月間お給料も休業手当ももらえないってなったら、生活が成り立たなくなっちゃうじゃないですか?…それなのにあんな怒鳴り散らすなんて…もう~…古川さんのバカー!!
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【使用者に直接の原因がない休業期間中の休業手当の支払い】

使用者(雇い主)が一定の期間業務を停止させる「休業」は、会社の不祥事や組織再編など休業を命じる使用者(雇い主)自身に直接的な原因のある休業(※いわゆる「会社都合による休業」)と、原材料不足や行政指導による業務の停止など休業を命じる使用者(雇い主)自身に直接的な原因のない休業(いわゆる「外部要因による休業」)の2種類があります。

このうち、前者のいわゆる「会社都合による休業」の場合については、労働者の使用者(雇い主)に対する「賃金請求権」は「休業」によっても失われることはありませんので、労働者は使用者(雇い主)に対して休業期間中の「賃金の全額」の支払いを求めることができるのが原則的な取り扱いです(民法536条2項)。また、この場合、仮に就業規則や個別の労働契約で別段の定めをした場合であっても「平均賃金の60%」に相当する金額の「賃金」は「休業手当」として使用者(雇い主)から支給されることが保障されています(労働基準法26条)。

(※この点の詳細はこちら→会社都合の休業で6割の賃金しか支給されない場合の対処法

では、後者のいわゆる「外部要因による休業」の場合、会社から休業期間中の賃金や休業手当を支払ってもらうことはできるのでしょうか?

会社側に帰責事由のない「外部要因による休業」の場合において、会社から「賃金」や「休業手当」を一切支払ってもらえないとすると、労働者は完全に収入の道が閉ざされ最低生活の保障もままならなくなってしまうため問題となります。

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プロローグ

嫌なヤツ!嫌なヤツ!嫌なヤツ!…嫌なヤツ!嫌なヤツ!嫌なヤツ!…
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ん?…なんだ?…なんか来たぞ…?
嫌なヤツ!嫌なヤツ!嫌なヤツ!…
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あれ…?ちょ…ちょっと待ってくれる…?
え?なんですか…?
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あの~…前に労働トラブルの相談に来てた『みおにゃ』ちゃんだよね…堀さんちの…
ええ、そうですけど…で、なんですか…?
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いや…別になにってことはないんだけど…なんか怒りながら歩いてたからなにかトラブルでも抱えてるのかと思ってさ…
トラブル?…あぁ…会社の休業のことでちょっと問題があるっていえばあるんだけど…あれ?なんか見覚えがあるな…あっ!…その顔は労働トラブルの相談でおなじみのトルティーヤ先生ですよね?…ちょうどよかった、会社の休業手当のことでちょっと聞きたいことがあるんですよ…
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休業手当?…で、具体的に休業手当の何を知りたいの?
実はですね、私が勤めてる会社が原材料の不足が原因で来月から1か月ほど全面休業するみたいなんですよ…でもね、その休業期間中のお給料は1円も支払ってくれないらしくって…それに休業手当も1円も出ないっていうから、翌々月の給料日は振り込みがゼロってことになるみたいなんです…
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え?…原材料不足で会社が休業するのに「休業手当」も支払われないの…?
そうなんです…上司は「原材料不足は会社に責任があるわけじゃないから会社に休業手当を支払わなきゃいけない義務はない!」って言ってるんで、たぶん休業手当は1円も支給されないと思うんですよ…
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でもトルティーヤ先生…休業期間中の手当が1円も出ないってことになると収入がゼロってことになるじゃないですか…そんなことになったらもう野良猫になっちゃうしかないですし…何とか会社に休業期間中の生活費だけでも支払ってもらういい方法ってないでしょうか?
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あるよ。
え?…なんですか?
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いや、だから…今『みおにゃ』ちゃんの話を聞いた限りで判断すると、『みおにゃ』ちゃんのケースでは会社に対して休業期間中の「賃金」の支払いを求めることはできないけど「休業手当」の支払いを求めることはできるから、休業期間中の生活費を確保することはできるよって話だよ…
え?…休業期間中の「賃金」はもらえないけど「休業手当」は支払ってもらうことができるんですか?
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「会社に帰責事由のない休業」の場合は休業期間中の「賃金」の支払いを求めることはできない

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うん…今の『みおにゃ』ちゃん話を聞いた限りでは「賃金」の支払いを求めることはできそうにないけど「休業手当」だったら会社から支払ってもらうことは可能だろうね。
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なんで休業期間中の「賃金」を支払ってもらうことができないかっていうとね…今の『みおにゃ』ちゃんの話では、会社が休業する理由が「原材料不足」っていうもので「会社側に直接的な原因がない」からなんだ…いいかえると「外部要因による休業」ってことになるけど、そういった「外部要因による休業」の場合は会社に対して「休業期間中の賃金を支払え!」っていう請求が認められないっていうのが基本的な考え方になってるんだよね…
え?…ちょっと待ってくださいよ…休業が「会社側に直接的な原因がない」ような「外部要因による休業」の場合は休業期間中の「賃金」の請求ができないってことは…じゃあ、その反対にもし休業が「会社側に直接的な原因がある」ような「会社都合による休業」の場合だったら会社に「休業期間中のお給料を支払え!」って請求できるってことになるんですか?
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そうだね。会社から支払ってもらう「賃金」っていうものは「仕事をして働いた労働の対価」として支給されるものになるんだけど、会社が「休業」する場合は「仕事自体が休み」になるわけだから「仕事をして働く」ってことができなくなる。だから「休業」の場合は会社に対して「仕事をして働いたんだからその対価となる賃金を支払え!」って請求する「賃金請求権」自体も消滅するっていうのが基本的な考え方になるんだけど…
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民法の一般原則では「債権者の責めに帰すべき事由」によって「債務を履行することができなくなったとき」であってもその「反対給付を受ける権利を失わない」っていう規定が定められてあってね…

民法536条2項

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。(後段省略)。

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使用者(雇い主)と労働者との間で結ばれる雇用契約(労働契約)も「契約」である以上、この民法536条2項の規定がそのまま適用されることになるんだ…で、「会社側に直接的な原因がある」ような「会社都合による休業」のケースをこの民法536条2項の規定に当てはめてみると下のような文章になるから…

【「会社側に直接的な原因がある」ような「会社都合による休業」を民法536条2項前段に当てはめた場合の解釈】

会社側に直接的な原因のある理由(債権者の責めに帰すべき事由)によって会社で働くことができなくなったとき(債務を履行することができなくなったとき)は、労働者(債務者)は、休業期間中の賃金(反対給付)を受ける権利を失わない。

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会社の休業が「会社側に直接的な原因がある」ような「会社都合による休業」のケースでは会社に対する「賃金請求権」自体が失われないことになる…つまり「会社都合による休業」の場合は会社に対して「休業期間中の賃金を全額支払え!」って請求することができるっていうことになるんだ。
う~ん、なるほど…でも私の会社の休業は「原材料の不足」が原因で「会社側に直接的な原因がない」場合だから…
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そうだね、『みおにゃ』ちゃんのケースでは会社が休業する原因が「原材料の不足」で「会社に直接的な原因がない」わけだから、民法536条2項のいう「債権者の責めに帰すべき事由」が存在しないってことになるでしょ?…そうすると『みおにゃ』ちゃんが本来有していた「賃金請求権」は消滅することになるから、今回の『みおにゃ』ちゃんのような「会社に直接的な原因のない休業」…言い換えれば「外部要因による休業」の場合は会社に対して「休業期間中の賃金を支払え!」っていう請求ができないから「休業期間中の賃金は支払ってもらえない」ってことになるんだよね。
なるほど…ちょっと小難しいけど、「会社に直接的な原因がない」ような「外部要因による休業」の場合は休業期間中の「賃金」をもらえないっていうことを法律的に説明するとそういうことになるのか…
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【ワンポイントアドバイス】

会社に直接的な原因がない「外部要因による休業」の場合は上記で説明したように休業期間中における労働者の会社に対する賃金請求権が失われますから休業期間中の賃金の支払いを求めることはできません。

ただし、会社の就業規則や個別の労働契約(雇用契約)、労働協約などで「会社に帰責事由のない休業の場合であっても休業期間中の賃金を支払う」とか「会社都合によらない休業の場合でも休業期間中の賃金の〇%を支払う」などと定められている場合は、会社から休業期間中の「賃金」を支払ってもらうことができます。

会社に直接的な原因がない「外部要因による休業」の場合であっても、就業規則や個別の労働契約などによっては休業期間中の「賃金の全額」の支払いを受けることが可能な場合もありますので、「外部要因による休業」が生じた場合は会社の就業規則や入社するときに交付された雇用契約書などを確認することも必要でしょう。

「会社に帰責事由のない休業」であっても休業期間中の「休業手当」の支払いを求めることはできる

あの…会社に直接的な原因がない「外部要因による休業」の場合に休業期間中の「賃金」を支払ってもらうことができないのはわかったんですけど、「休業手当」を支払ってもらえるのはなぜなんですか?
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それは、法律にそう書いてあるからだよ。労働基準法の26条にはね…

労働基準法26条

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

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…っていう条文が規定されていて、休業期間中でも「平均賃金の60%」にあたる「休業手当」を支払うことを会社側に義務付けてるから、たとえ「会社に直接的な原因がない」ような「外部要因による休業」の場合で「賃金」の支払いを受けられない場合あっても、会社に対して「休業手当」の支払いを請求することが認められているからなんだよ。

ア)労働基準法26条の「責めに帰すべき事由」には「会社に直接的な原因がない休業事由」も「含まれる」と解釈される

え?…でもそれって矛盾してません?…だってその労働基準法の26条には「使用者の責めに帰すべき事由による休業」って書いてあるじゃないですか?…「使用者の責めに帰すべき事由による休業」って「会社に直接的な原因」が「ある」休業のことですよね?…でも私の会社が休業するのって「原材料の不足」が原因だから「会社に直接的な原因」が「ない」休業ってことになりますよ?…だったら私の会社の休業にその労働基準法26条の規定を適用して考えるのはおかしいんじゃないですか?…やっぱ矛盾してると思うんですけど…?
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いや、それは労働基準法26条の解釈として間違ってるよ。確かに労働基準法の26条には「使用者の責めに帰すべき事由による休業においては」って書いてあるけど、法律的な考え方ではその労働基準法26条の「責めに帰すべき事由」には「会社に直接的な原因がない」ような「外部要因による休業事由」も含まれるって解釈されてるからね。
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そう考えると『みおにゃ』ちゃんの会社みたいに「原材料の不足」のような「会社に直接的な原因がない」といえる「外部要因による休業」の場合であっても労働基準法26条にいう「責めに帰すべき事由」には該当することになるから、『みおにゃ』ちゃんのケースの休業の場合も会社から「平均賃金の60%」の休業手当を支払ってもらうことは可能なんだよ。
え~?…でも、それってやっぱり矛盾してるんじゃないですか?…だって、「責めに帰すべき事由」っていう文章はさっき説明してもらった「民法536条2項」にも同じように入ってたけど、「民法536条2項」を解釈するときは「会社に直接的な原因がない」ような「外部要因による休業」は民法536条2項の「責めに帰すべき事由」には含まれないっていう解釈をとってたじゃないですか?…なのになんで労働基準法26条の「責めに帰すべき事由」には「外部要因による休業事由」も含まれることになるんですか?…やっぱ矛盾してるじゃんっ!?
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いや…だからそれが間違ってるんだって…「民法536条2項」の規定と「労働基準法26条」の規定は全く別のことを規定してる法律だから、どちらも同じ「責めに帰すべき事由」っていう文章が入ってたからと言ってその解釈が同じになるわけじゃないんだよ。
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さっきも説明したように、「民法536条2項」の規定は「契約の一般原則」を規定した規定で、その「契約の一般原則」を「会社の休業」における「賃金請求権」に当てはめたらさっきのような解釈になるっていう話であってだね…
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「労働基準法26条」の規定は「労働者の最低生活の保障」を目的とした規定で「会社の休業」における「休業手当」の支払い義務について規定したなんだから、「責めに帰すべき事由」っていう同じ文章が使われているとはいっても、その「責めに帰すべき事由」っていう文章が意味しているところは全く異なってるんだ。だから矛盾してるわけじゃないんだよ。
う~ん…「民法536条2項」の規定が「契約の一般原則」で「労働基準法26条」が「休業手当」を規定した法律だっていうのは理解できますけど……でも、どうして「労働基準法の26条」が「休業手当」を保障した法律だったら「会社に直接的な原因がない」ような「外部要因による休業」が「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に含まれるっていう解釈になるんですか?…そこんところがわかんないんですけど…?
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