会社都合の休業で「休業手当」が支給?…それ違法かも!

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よっ!…はっ!…あ~ダメだ絶対ダメっ…
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え?…何やってるのかって?…そんなの見たらわかるじゃないですか、見ての通り自転車の練習してるんですよ…え?バイト?…あ~バイトは急遽休みになっちゃってですね…実は会社の都合で来月までの1か月間、臨時休業ってことになったんですよ…で、自転車の練習をしてるってわけなんです…
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理由?…いや、今まで内緒にしてたんですけど、実はわたし自転車に乗れなくってですね、この年になって地元で自転車の練習なんかしてると”ヤバい奴”って思われちゃうじゃないですか?だから……え?自転車の練習してる理由じゃなくて会社が休業になった理由の方を聞いてるって?…う~ん…上司の話だと、うちの会社で作ってる”猫じゃらし”の売れ行きがいまいちなんで、1か月間生産調整のために休業するってことらしいです…
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…まぁ、休業になる1か月分の休業手当は出るみたいだから収入の方は安心なんだけど暇を持て余しちゃってですね…だからこうして自転車の練習してるんですけど…でもね…休業手当っていっても休業期間中のお給料が全額支給されるわけじゃなくっていつも貰ってる時給の6割しか支給されないんですよね…もちろん休業期間中は休みになって働かなくていいわけだからタダでいつものバイト代の60%も貰えるってのを考えたら文句言える立場じゃないんですけど…でもな~…いつものバイト代の6割しかもらえないってなると再来月の生活費がカツカツになっちゃうんですよね~…
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【会社都合の休業で”休業期間中の賃金”ではなく”休業手当”が支給された場合の注意点】

雇い主側の都合で休業が発生した場合に”休業期間中の賃金”ではなく”休業手当”が支給された場合には十分な注意が必要です。

なぜなら”会社都合”の休業の場合、会社は労働者に対して休業期間中の「賃金の全額」を支払わなければならないのが原則だからです。

就業規則や個別の労働契約(雇用契約)、労働協約などで「会社都合の休業の場合は平均賃金の60%を支払う」といった特段の定めがあらかじめなされている場合には”会社都合の休業”の場合に「賃金の全額」ではなく「平均賃金の60%」だけを支給して済ませることも許容されますが、そのような定めがない限り会社には労働者に対して「休業期間中の賃金の100%」を支払うことが義務付けられています。

ですから、仮に”会社都合の休業”が発生して会社が休みになった場合において会社から「休業手当」として「通常賃金の〇%」しか支給されない場合には、「就業規則や個別の労働契約、労働協約などで特段の定めがなされているか」といった点や、「”休業手当”と称して支給される金額は”平均賃金の60%”を上回っているか」といった点に十分注意する必要があるのです。

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プロローグ

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ん~?…なんだ~?…さっきからガシャンガシャンうるせーなー…
あっ!トルティーヤ先生っ!!
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あれ?…なんだ、『まにゃったん』の大学の後輩の『にゃんぜ』ちゃんじゃないの…何やってんの…?
なにって…見ての通り自転車の練習ですよっ…
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自転車?…その歳になって?…ふぅ~ん…でもバイトは?…この時間って猫じゃらし工場でバイトしてるんじゃなかったっけ…?
バイトは来月まで臨時休業になったから休みなんですよ…最近、猫じゃらしの売り上げが思わしくないみたいで生産調整で工場のライン止めるんですって…ま、いつものお給料の6割分の休業手当は支給してくれるみたいだから休みもらえてラッキーって面もあるっちゃあるんですけどね…
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え?いつもの給料の6割の休業手当?…会社都合の休業なのにお給料の全額を支払ってもらえないの?
えぇ…そーですけど…なにか問題でもあるんですか…?
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う~ん…それはちょっと問題があるかもしれないね…だって、会社の都合で休業が発生した場合は、会社はその休業期間中の賃金の100%を労働者に支払わなければならないのが原則なんだから…

会社都合の休業の場合は休業期間中の賃金の全額(100%)の支払いを求めることができるのが原則

え?…会社の都合で休業する場合って休業期間中の賃金を全額支払ってもらうことができるのが原則なの?
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そうだよ…だって民法の536条2項の前段には「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」っていうように規定されてるんだけど…

民法536条2項

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。(後段省略)。

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この条文を「雇用契約」の場面に適用したら…

会社都合による休業(債権者の責めに帰すべき事由)によって会社で働くことができなくなったとき(債務を履行することができなくなったとき)は、労働者(債務者)は、休業期間中の賃金(反対給付)を受ける権利を失わない。

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っていう文章になるから、会社の都合で休業が発生した場合は、その休業で働かなくてもよくなった労働者は会社に対して休業期間中にもらえるはずだった賃金の全額を支払ってもらうことができるっていうのが原則的な考え方になるんだよ。
え~っ!?…じゃぁ、6割の休業手当しか支給しないって言われてるのは会社に騙されてるってことなんですか?
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「就業規則」「個別の労働契約」「労働協約」で「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」と定められている場合は「平均賃金の60%まで」しか休業期間中の賃金を受けられない

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いや…必ずしもそうとは言えないんだ…なんでかっていうと、この民法の規定は一般原則に過ぎないから、当事者間の合意で別段の定めをすることも認められているからなんだ…
別段の定め…?
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うん…今説明したように「会社の都合」で休業する場合は会社は「休業期間中の賃金の全額」を労働者に支払わなければならない契約上の債務(義務)を負っているわけなんだけど、「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」とか「労働協約」なんかで、あらかじめそれとは別の定めをしていた場合にはその「別段の定め」の方が優先されることになるんだ…
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だから、『にゃんぜ』ちゃんが働いてる会社の「就業規則」とか、『にゃんぜ』ちゃんがその会社で働き始める際に会社から提示された「労働契約(雇用契約)」とか、『にゃんぜ』ちゃんの会社の労働組合が会社との間で合意した「労働協約」なんかに「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていうような別段の定めがあらかじめ規定されていた場合には、その「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていう規定の方が民法536条2項の規定より優先されるから、会社の都合で休業する場合の休業期間中の賃金を「平均賃金の60%しか支払わない」ことも認められることになるんだよ。
…ってことは、私の場合も会社の「就業規則」とか入社するときに受け取った「雇用契約書」とかに「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていうような規定が書かれてたとしたら休業期間中のお給料は「平均賃金の60%」しかもらえないけど、そういった規定が書かれてなかったとしたら「いつも貰ってるお給料の全額」を支払ってもらえるってことになるんですか?
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そうなんだよ。だから『にゃんぜ』ちゃんの場合も「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」なんかにそういった規定がキチンと定められてるかって点を確認しておいた方がいいと思うんだよね…もしそういう定めが記載されていないようだったら会社に対して「休業期間中の賃金を全額支払え!」って請求することができることになるんだから…
なるほど~…でも、どーして「平均賃金の60%」ってゆー金額になるんですか?「50%」とか「40%」とか定められてる場合もあるんでしょ?
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いや、それはないよ…だって労働基準法の26条で「会社の責めに帰すべき事由による休業」の場合は「平均賃金の100分の60以上」の休業手当を支払わなければならないって規定されてるから…

労働基準法26条

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

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「平均賃金の60%」よりも少ない割合の賃金しか支払わないって「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」とか「労働協約」に定められてたとしてもその定めは労働基準法の基準に満たない「無効な定め」って判断されることになるし…
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この労働基準法26条に違反する事業主は労働基準法の120条1号で「30万円以下の罰金」に処せられることになってて刑事罰の対象になるから、仮に「平均賃金の60%」よりも低い金額しか会社都合の休業期間中に支払われないって定めてしまったらその会社や経営者は「犯罪」を犯してるってことになるんだよね…だから、普通の会社で「平均賃金の60%」よりも低い金額しか支給しないってケースは常識的に考えてありえないんだよ。

労働基準法120条1号

次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 (省略)、第23条から第27条まで(中略)の規定に違反した者

なるほど~…そーなのか~…
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労働基準法26条の規定は民法上の使用者の賃金支払い義務を軽減する趣旨で定められた法律ではない

あれ?…でもトルティーヤ先生、その労働基準法の26条には「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」には「平均賃金の100分の60以上の手当」を支払わないといけないって書かれてあるんですよね?…ってことは会社は「会社都合の休業」の場合には「平均賃金の60%」さえ支払っておけば法律違反にならないってことでしょ?
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だったら、別に「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」とか「労働協約」なんかに「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていう規定が定められてなかったとしても、会社は「平均賃金の60%」しか支払ってくれないんじゃないですか?
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いや、そうはならないよ…だって、過去の最高裁判所の判例では、労働基準法26条の規定は会社が休業する場合に最低でも「平均賃金の60%」の「休業手当」の支払いを「30万円以下の罰金」っていう罰則を設けることによって義務付けて労働者の最低生活を保障するために設けられた法律であって、民法536条2項から導き出される「休業期間中の賃金」の支払い義務を軽減する趣旨で定められたものではないって考えられてるんだ。

最高裁の判例→ノースウエスト航空事件:最高裁昭和62.7.17

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だから、今回の『にゃんぜ』ちゃんのケースのように「会社の都合」で休業する場合には、仮に会社が「休業期間中の賃金」を労働基準法26条の規定に従って「平均賃金の60%」に相当する金額を「休業手当」として支払ったとしても、会社が民法536条2項から導き出される「賃金支払い義務」から当然に逃れることができるわけじゃないんだ。
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会社が「休業期間中の賃金支払い義務」を軽減できるのは、「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」とか「労働協約」であらかじめ「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていうような定めをしてる場合だけなんだよ。
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だから、さっきも言ったように、会社の「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」とか「労働協約」であらかじめ「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていうような定めがされていないような場合には、『にゃんぜ』ちゃんは会社に対して「休業期間中の賃金を全額支払え!」って請求することができるってことになるんだ。
う~ん…なんかちょっと小難しいけど…そーゆーことだったんですね…
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日本の会社では「賃金請求権」と「休業手当請求権」の違いを混同して理解している経営者や役職者がやたらと多いので注意が必要

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まぁ…だから『にゃんぜ』ちゃんも、会社の就業規則とか入社するときに受け取った雇用契約書なんかを一度確認しておいた方がいいかもしれないよ?…もしそこに「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていうような規定が盛り込まれていなかったとすれば会社との間で「民法536条2項を排除して労働基準法26条に基づく休業手当だけを支払う合意」がなされていないってことになるから、会社に対して「休業期間中の賃金を全額支払え!」って請求することができるからね…
う~ん…そーですね、後でちょっと確認してみます…でも、会社都合の休業期間中は「いつものお給料の全額」を支払ってもらえるのが原則的な考え方だっていうのには驚きましたよ…だって、会社都合で休業する場合でも休業期間中は働かなくていいのは事実だから「60%」支給してくれるだけでも「なんて良心的な会社なんだろっ♡」て思ってましたもん…
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まぁ、法律になじみのない人はそう思うかもしれないけど、雇用契約も契約の一種である以上、契約の一般原則に従って債権債務関係を考えないといけないんだよね…で、契約の原則に従って考えたら「会社都合の休業」ってことは会社側に「労働者に対して仕事を提供しない」っていう「債務不履行」が生じてるわけだから、労働者は「休業期間中に働かなくてよくなった」としても「賃金請求権」を失わないって結論になるのは法律的には至極当たり前のことなんだよ…
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ま、この点については会社の経営者とか役職者にも勘違いして理解してる人…じゃなかった猫も多くってね…労働基準法26条に「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては……平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」って規定されてるもんだから、「会社都合の休業の場合は6割だけ給料を支払っておけばいいんだろ?」って単純に理解して、「会社都合の休業」の場合に「平均賃金の60%」に相当する「休業手当」を支給するだけで済ませてしまう会社も多いんだけど…
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でも、法的に考えたらそれは大間違いで、実際は「休業期間中の賃金の全額」を支払わなければならないのが原則なんだ……どうしても会社が「会社都合の休業」の場合に労働者に支払う賃金を「平均賃金の60%」に抑えたいっていうんなら、さっき説明したように前もって「就業規則」とか「個別の労働契約(雇用契約)」とか「労働協約」で「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の60%しか支払わない」っていうように規定して、あらかじめ労働者の承諾を受けておく必要があるんだけど…
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それすらしないで自分たちが違法な処理をしてることに気づかないまま、「会社都合の休業」であるにもかかわらず労働者に対して休業期間中の賃金を「平均賃金の60%」しか支払わない会社は本当にたくさんあるのが現実なんだ…労働基準法26条の規定は「休業手当請求権」の根拠規定であって「賃金請求権」の規定ではないんだから、労働基準法26条の「休業手当」を支払ったとしても民法536条2項から導かれる「賃金請求権」は消滅しないんだよね…でも経営者とか役職者の中には労働基準法26条の「休業手当(請求権)」と民法536条2項で導かれる「賃金請求権」の話を混同してる人…じゃなかった猫がホント多くってさ……
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だから、そういう会社で働いてる労働者の中には本来いであればもらえるはずの休業期間中の賃金を60%しかもらえずに損してる人…じゃなかった猫も多くいるはずだから、そういった損をしないためにも一度「就業規則」とか「雇用契約書」なんかをチェックしておく必要はあると思うよ…
う~ん…そーだったんですね…たぶんほとんどの猫はそんな法律の考え方なんて知らないから損してる猫は日本中にたくさんいるんでしょうね…
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エピローグ

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まあ…会社都合の休業期間中に会社が「休業期間中の賃金の全額」を支給せずに本来支払うべき賃金の一部に過ぎない「休業手当」しか支払わない場合にはこういった法律上の問題があるわけなんだけど…どう?ある程度理解できた?
そーですね、でも……あの、わたし労働相談に来たわけじゃなくって自転車の練習やってるだけなんで、もうそろそろあっち行ってもらってもいいですか…?
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ウキキッキィーっ!!
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